MAPPAは、『呪術廻戦』や『チェンソーマン』など数々の話題作を生み出してきたアニメーションスタジオです。2026年に設立15周年を迎え、記念展覧会「MAPPA EXPO 15th Anniversary」をはじめとする大規模プロジェクトが始動しています。
一方で、MAPPAの魅力は作品づくりだけではありません。自社出資によるIP戦略や音楽レーベルの展開など、アニメを長く愛されるコンテンツへ育てるビジネスにも積極的に取り組んできました。
本記事では、MAPPA15周年プロジェクトの最新情報から業界の常識を覆すビジネス戦略、企業とのコラボ事例まで代表作とともにご紹介します。
MAPPA15周年プロジェクトの最新情報
日本を代表するアニメーションスタジオ「MAPPA」。設立から15年の節目を迎えた2026年、MAPPA15周年プロジェクトが本格始動しました。
6月16日から18日には「MAPPA15周年キービジュアル」が3日連続で解禁。『チェンソーマン』のレゼ、『進撃の巨人』のミカサ、『呪術廻戦』の釘崎が描かれたビジュアルは、ファンの間でも大きな話題になりました。



© 2025 MAPPA/チェンソーマンプロジェクト ©藤本タツキ/集英社
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season 製作委員会
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
MAPPA15周年プロジェクトのラインナップ一覧
6月19日にはナビゲーターに津田健次郎さん、ナレーターに三石琴乃さんを迎えた「MAPPA15周年記念 ラインナップ発表会」がMAPPA公式YouTubeチャンネルにて公開。MAPPAがこれまで手がけてきた作品・制作予定の作品のなかから、ラインナップが公開されました。
MAPPA15周年プロジェクトのラインナップ一覧
- 呪術廻戦
- 進撃の巨人 The Final Season
- 忘却バッテリー
- チェンソーマン
- ドロヘドロ
- らんま1/2
- 地元最高!
- BEAT&MOTION
- 恋せよまやかし天使ども
ほかにも、『呪術廻戦』の榎木淳弥さん・緒方恵美さんによる「じゅじゅとーく出張版」をはじめ、『進撃の巨人The Final Season』の林祐一郎監督と石川由依さんによる対談、『らんま1/2』第3期に向けたスペシャルトーク、『忘却バッテリー』のキャスト陣による制作現場潜入レポートなど、作品ごとのコーナーが展開!PEOPLE1によるアニバーサリーソング『生活』にのせたMAPPA 15th Anniversary Movieも初公開となりました。
【基本情報】MAPPA EXPO 15th Anniversaryも開催!
2026年9月16日から12月7日には「MAPPA EXPO 15th Anniversary」の開催も決定!劇場版『チェンソーマン レゼ篇』をはじめ、MAPPAの代表作の魅力や世界観を体感できる展覧会で、前期・後期で一部展示が入れ替わる予定です。
入場者特典としてカット袋風封筒入りの原画ポストカードも配布されるので、原画好きは要チェックですね。
| MAPPA EXPO 15th Anniversaryの基本情報 | |
| 会場 | YURAKUCHO MUSEUM 〒100-0005 東京都千代田区丸の内3丁目5番1号 東京国際フォーラム地下1階 |
| 会期 | 前期日程:2026年9月16日~2026年10月25日 後期日程:2026年10月28日~2026年12月7日 ※10月26日、10月27日は休館 |
| 開催時間 | 10:00 ~ 18:00 (最終入場17:00) |
| 一般:前売 2,000円/当日券 2,200円 大学生・高校生:前売 1,600円/当日券 1,800円 中学生・小学生:前売 1,200円/当日券 1,400円 未就学児:無料 ※グッズセット券あり | |
| 公式サイト | https://expo.mappa.co.jp/ |
代表作と振り返るMAPPA15年の軌跡
2011年の設立以来、日本だけでなく世界でも愛される作品を生み出してきたMAPPA。ここからは年代別に、MAPPAを語るうえで欠かせない作品たちを振り返っていきましょう。
2011年〜|『坂道のアポロン』『この世界の片隅に』

MAPPAは、アニメプロデュ―サーの丸山正雄氏が立ち上げたアニメスタジオです。『HUNTER×HUNTER』や『チ。 ―地球の運動について―』などで知られるマッドハウスから丸山氏が独立する形で、2011年に設立されました。
MAPPAの初期を代表する作品といえば、2012年放送の『坂道のアポロン』です。ジャズの演奏シーンを圧倒的な作画で表現し、音が見えるアニメとして話題になりました。
一方『この世界の片隅に』(公開は2016年)は、戦時下の広島・呉を舞台にした静かな感動作。緻密に計算された映像が海外でも高く評価され、劇場興行収入は27億円を記録しました。
編集部のひとこと
『この世界の片隅に』は、MAPPA設立のきっかけとなった作品。「どうしても映像化したい」という片渕須直監督と丸山正雄氏の強い思いから制作が進められました。
制作資金を募るクラウドファンディングでは、当時国内最高クラスとなる約3,622万円の支援を集め、大きな話題に。当時は、ファンが作品を支える新しい制作モデルとしても注目されていました。
派手なバトルものではなく、このような作家性の強い作品からスタートしたことも、MAPPAの理念を体現していると言えます。
2016年~|『ユーリ!!! on ICE』『ゾンビランドサガ』

2016年の代表作は、やはり『ユーリ!!! on ICE』です。フィギュアスケートの美しい演技を高品質な作画で描き切り、競技シーンの滑らかな動きや繊細な演出は放送当時から大きな話題を呼びました。「MAPPA=作画がすごいスタジオ」というイメージを確立した作品でもあるでしょう。
2016年以降はオリジナル企画も多数あり、2018年には『ゾンビランドサガ』が放送。「ゾンビ×アイドル」という異色作でしたが、予想を覆すストーリーと楽曲の完成度で人気作品へと成長しました。ラッピング列車やスタンプラリーなど、佐賀県との地域連携も積極的に行われ、アニメを活用した地域活性化の成功事例としても高く評価されています。
編集部のひとこと
MAPPAは、2016年以降もジャンルにとらわれず幅広い作品を生み出してきました。作品ごとに色がまったく異なるにもかかわらず、どれも高いクオリティで仕上げてくれる安心感があります。個人的には、BANANA FISHをMAPPAの映像で見られたのもうれしかったです。
2020年〜|『呪術廻戦』『進撃の巨人』『チェンソーマン』

MAPPAの名を世界へ広げた2020年代。『呪術廻戦』のTVアニメ化を皮切りに、『進撃の巨人 The Final Season』の制作も担当し、原作ファンの高いハードルを超える作画で評価を確立しました。
『チェンソーマン』のPV公開時には、SNSで「映画みたいな作画」「動きがやばい」と絶賛する声が続出。アクションの迫力はもちろん、週替わりでEDが変わるというサプライズも大きな話題になりました。
編集部のひとこと
『呪術廻戦』の渋谷事変は、1期から作画が変わったという意見もありましたが、アニメーターの個性が際立つ戦闘シーンが印象に残っています。また『チェンソーマン』は、エンディング映像も毎週異なった映像が流れるという本気ぶり。本当に劇場版を観ているような満足感がありました。
2026年~|『地獄楽 第二期』『ドロヘドロ Season2』

2026年もMAPPAは快進撃を続け、『地獄楽 第二期』では、仙薬を巡る戦いが人間と天仙の全面対決へと突入。遊佐浩二さんや内田真礼さんら新キャストの参戦も、ファンの間で大きな話題になりました。
一方『ドロヘドロ』は、2020年から6年ぶりとなるSeason2を制作。配信開始と同時にSNSでトレンド入りするほどの反響を呼び、最終回配信時にはSeason3の制作決定が発表されるという異例のスピード展開となりました。
2026年1月には『呪術廻戦 死滅回游 前編』が放送されたほか、「MAPPA15周年記念 ラインナップ発表会」では新作アニメ『恋せよまやかし天使ども』の制作決定、『地元最高!』のNetflix世界独占配信も新たに発表。集英社による新人漫画家発掘オーディションのグランプリ作品『BEAT&MOTION』のアニメ化にも期待が高まります。
業界の常識を覆す、MAPPAのビジネス戦略
MAPPAが急成長を遂げてきた理由は、圧倒的な作画力だけではありません。ここからは、MAPPAの攻めのビジネス戦略を3つに分けて解説します。
自社出資モデルによる収益・IP権利の確保
アニメの制作では、出版社やテレビ局などが出資する製作委員会方式が主流ですが、この仕組みではアニメ制作会社の収益が限られるという課題がありました。
そのようななかでMAPPAは、『チェンソーマン』TVシリーズで自社出資モデルを選択。制作会社が製作委員会に頼らず、自ら出資するという異色の意思決定でした。MAPPAの大塚社長は、とある対談で単独出資について以下のように語っています。
「チェンソーマンでは、どういうビジネススキームでどうお金を生み出せるかを予測して制作費を設定した。まさか全額出資にOKが出るとは思わなかったが、人気かつ内容が充実した作品だったので、必ずできると思い提案した」
単独出資によって続編制作やグッズ展開まですべてを自社で決定できるようになり、劇場版『チェンソーマン レゼ篇』は全世界興行収入278.8億円を突破。自社判断のスピード感はコラボ展開にも現れ、mofusandとの限定コラボ壁紙配布やROUND1とのコラボキャンペーン、モンストをはじめとする人気ゲームとのコラボなど、多彩なコラボが一斉に展開されました。
編集部のひとこと
円盤売上だけでなく、配信権やイベントなど多角的な収益モデルで投資を回収するというのは、まさにMAPPAの新たな挑戦だったと言えるでしょう。
音楽レーベル展開で世界観を強化
アニメにおいて主題歌や劇伴は、作品の印象を左右する重要な要素です。『チェンソーマン』で毎話異なるエンディングテーマが話題になったように、音楽から作品にハマったというファンも少なくありません。
MAPPAはそんな音楽の力に着目し、2025年に音楽レーベル「mappa records」を設立しました。作曲家やアーティストと協力しながら作品の世界観に寄り添った音楽を創り、音楽コンテンツの全世界配信やライブ運営にも挑戦していくとのこと。音楽とアニメが一体となった演出も、ファンの熱量を高める一因となるでしょう。
編集部のひとこと
『呪術廻戦』の廻廻奇譚(Eve)や『BANANA FISH』のPrayer X(King Gnu)など、MAPPAにはアニメと主題歌がうまく調和した作品が多い印象です。なかでも『坂道のアポロン』や『LAZARUS ラザロ』など、渡辺信一郎監督によるMAPPA作品は、作中の音楽が心地よく耳に残ります。
15周年記念のアニバーサリーソングに「生活(PEOPLE1)」を起用したのも、アニメと音楽の親和性を重視してきたMAPPAならではかもしれません。
制作体制の拡充による作品展開の加速
クオリティを重視するアニメスタジオでは、会社の規模を短期間で大きくせず、本数を絞り込んで制作するのが一般的です。対してMAPPAは、制作ラインの強化を積極的に進めており、劇場作品を交えながら毎年4〜8本ほどの作品をリリースしています。
映像や演出のクオリティが高いスタジオは多いですが、そんな作品を同時期に世に送り出せるのはMAPPAの大きな強み。『らんま1/2』が3年連続で放送されるというスピード感も、制作体制強化の賜物と言えそうです。
MAPPAの3大メガヒット作と企業コラボ事例
ここからは、MAPPAの3大メガヒット作『呪術廻戦』『進撃の巨人 The Final Season』『チェンソーマン』に焦点を当て、企業コラボの事例を見ていきましょう。
呪術廻戦|長期コラボも充実
『呪術廻戦』は、コンビニチェーンや飲料メーカー、アパレルブランドなど数え切れないほどの企業とタイアップを展開しているIPです。くら寿司や極楽湯・RAKU SPAとのコラボキャンペーンをはじめ、長期的なコラボが続いています。
【最新・過去コラボ情報】
ZOZOTOWN×アニメ『呪術廻戦』5周年記念コラボ企画
1期エンディング風の描き下ろしイラストを使用した新作アイテムをリリース。POPUPの開催も。

くら寿司×アニメ『呪術廻戦』5周年 コラボキャンペーン(終了)
キャラクターをイメージしたコラボメニューが登場!全メニューにキャラクターが描かれた5種類のカードが付いてくるほか、くら寿司限定のコラボグッズも販売。

進撃の巨人|ダークな世界観を生かしたコラボが話題
『進撃の巨人』は、壮大でダークな世界観を生かしたコラボが特徴です。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでのアトラクションやリアル脱出ゲームをはじめ、作品世界を体験するコラボが数多く実施されています。
アース製薬の「ゴキジェットプロ 進撃デザイン」のほか、過去にはRoborockとコラボしたお掃除ロボットやアタック(花王)とコラボした調査兵団公式洗剤が販売されるなど、日用品ジャンルにも進出しているのが面白いですね。
【最新・過去コラボ情報】
TVアニメ『進撃の巨人』×ニジゲンノモリコラボイベント
『進撃の巨人』の世界がニジゲンノモリに出現!スタンプラリーやミステリークエストなど体験型コラボを楽しめます。

TVアニメ『進撃の巨人』×エスクリ Sweet Party ~give your heart~ Season3
特別メニューや限定グッズなど期間限定のイベントで、作品の世界観を体験。

チェンソーマン|ファッション・ライフスタイル領域に進出
『チェンソーマン』も、劇場版『レゼ篇』の大ヒットを追い風に企業コラボが続いています。JINSとのコラボでキャラクターモチーフのアイウェアが発売されるなど、ファッション・ライフスタイル領域にも進出。『チェンソーマン 刺客篇』の制作が決定しているため、今後も長期的なコラボが期待できます。
【最新・過去コラボ情報】
劇場版「チェンソーマン レゼ篇」×「glamb」コラボ
レゼやデンジ、アキ、天使の悪魔などが描かれたアパレルアイテムが登場。スタイリッシュなデザインがカッコイイですね。

劇場版「チェンソーマン レゼ篇」×サンシャインシティプリンスホテル
「公安ROOM」と「デンジ・レゼROOM」のコンセプトルームステイプランを用意。キャラクターとの宿泊を疑似体験できるのがポイントです。

挑戦を続けるMAPPAに今後も注目
設立から15年。MAPPAは『この世界の片隅に』のような繊細な作品から、『呪術廻戦』や『チェンソーマン』といった世界的人気IPまで、ジャンルを問わず数々の話題作を生み出してきました。
その歩みは、アニメ制作会社として新たなビジネスモデルに挑戦し続けてきた15年間でもあります。15周年プロジェクトはもちろん、これからどのような作品が展開されるのかにも注目したいですね。