アニメコラボの経済効果を徹底解説!聖地巡礼の事例も交えて紹介
「アニメコラボで○○万円の経済効果」こんな見出しのニュース記事が増えてきました。
アニメコラボは、いまや企業にとって注目すべきマーケティング施策の一つです。ただ、実際にどんな効果があるのかを知る機会は多くありません。
この記事では、アニメと企業のコラボレーションによって生まれる経済効果について、商品化や地域活性化の成功事例を交えながら分かりやすく解説します!
まずは経済効果の基本を学ぼう
「経済効果」とは?
まず「経済効果」の正式名称は「経済波及効果」です。
経済効果とは、ある商品が発売されたり出来事が起きることで、国や地域にどれだけのプラスがあるかをシミュレートし、金額で表したものをいいます。
以下、訪日外国人の増加に伴う経済効果の例。

https://www.stat.go.jp/dss/business32.html
経済効果には、直接的な効果と間接的な効果があります。
テーマパークの建設を例にしてみましょう。それぞれ以下の通りです。
テーマパーク建設による経済効果
- 直接的な効果→チケット収入や飲食・グッズ販売による収益増加。テーマパークの建設に関わる建設業者の収入増加。従業員への給料発生など。
- 間接的な効果→ 周辺のホテルや飲食店など事業者の収入増加。交通機関や土産物店の売上アップなど。
このように、さまざまな方面で収入や売上が上がることを経済効果といいます。
さて、この経済効果はアニメコラボではどのような特徴があるのでしょうか?次の章で見ていきましょう!


アニメコラボの経済効果の特徴
テレビや映画で放映されるアニメには、どんな経済効果が生まれるのでしょうか。
上記のテーマパーク同様、直接的な経済効果と間接的な経済効果で見ていきましょう。
直接的な経済効果
グッズやゲームなど関連商品の売上
アニメの最大の特徴が、作品1つから様々な媒体・商品に波及すること。
Blu-rayや漫画はもちろん、ゲーム、フィギュア、キャラクターグッズなど、人気になればなるほど多角化していきます。
また、「推し活」としてこれらを集めるファンも多いです。そのため、関連商品の売上は非常に重要となるでしょう。
配信契約やグッズ販売など海外市場への展開
近年は配信サービスの増加により、様々な動画プラットフォームで配信が可能になっています。
そのため、海外でも人気に火がつけば一気に売上が伸びる傾向に。
それを示すデータとして、海外との番組契約やグッズ販売など「海外展開」による収益は1兆円を超えるといいます(2022年)。これは、アニメ産業の市場全体の半分以上を占めるほど。

https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00930/00004/
イベント収入
人気アニメの場合、イベントやコンサート、展示会が催されることも多いです。
それに伴うチケット販売やグッズ販売による収入も経済効果の一つでしょう。
特に顕著なのがアイドルをテーマにしたアニメ。声優ライブとして高い人気を得ています。
間接的な経済効果
聖地巡礼による観光収入
近年特に話題となっている経済効果です。
アニメの舞台となった地域へのファンが訪れることで、宿泊費、交通費、飲食費、お土産代などの利益が生まれます。
地域活性化
上記の聖地巡礼も含め、県や市町村の公的機関がプロモーションを行うことで様々な経済効果が生まれます。
地域ブランドの向上や、地元産品の販売促進がその一例です。
作中の楽曲による著作権収入
海外からの著作権収入で実は多いのが、この楽曲の著作権収入なんだとか。
これはオープニングやエンディング曲ではなく、作中で流れるBGMを指します。例えば『NARUTO-ナルト-疾風伝BGM』は海外から特に人気だといいます。
企業とのコラボ
もちろんコラボも経済効果の一つです。
アニメのオフィシャルグッズではなく、企業がすでに販売している商品やサービスとのコラボにより、新たな価値を提供することができます。

「聖地巡礼」による経済効果の事例集
ここからはアニメが生んだ経済効果の事例を紹介していきます。
作品や経緯、目算される経済効果の額などをチェックしていきましょう。
1.『凪のあすから』×三重県熊野市
経済効果:1000万円以上(1ヶ月間)
三重県熊野市を舞台にしているとされるアニメ「凪のあすから」。2025年1月25日~2月末まで同市の観光協会とコラボ企画が実施されまいた。
この期間中、全国からファン約300人が訪れ、その7割以上が宿泊を伴う滞在だったのだそう。結果、1ヶ月弱の間で1000万円以上の経済効果があったと発表しました。
特に、作品イラストを施したバスでのモデルコース巡りが人気で、ファンからは満足の声が上がっています。観光協会は、3月以降も継続的な誘致を目指しています。

https://www.chunichi.co.jp/article/1051518
2.『ゆるキャン△』×静岡県
経済効果:約4億1,148万円(5ヶ月間)
静岡県と『ゆるキャン△』シリーズは、2021年11月12日(金)〜2022年3月21日(月)に県内のモデル地を巡る「『ゆるキャン△』×静岡県スタンプラリー」を実施しました。
この企画による経済効果は、なんと推計4億1,148万円。また、スタンプラリーに参加したファンからは好意的な反応が多く、同スタンプラリーを通じて本県の魅力を効果的に発信することができたといいます。
産業部門別では、宿泊や飲食などの「対個人サービス」(1億6,049万円)、交通などの「運輸・郵便」(8,721万円)、買物・土産代などの「商業」(4,747万円)となり、上位3 部門で経済波及効果総額の7 割超を占めたほか、幅広い分野に経済波及効果が及んでいます。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000227.000079445.html

3.『ガールズ&パンツァー』×茨城県大洗町
経済効果:約7億円(1年間)
『ガールズ&パンツァー』は茨城県東茨城郡大洗町を舞台としており、作中には実在するスポットが多数登場します。
同町は2012年よりコラボ企画を実施。2013年4月から2014年3月で聖地巡礼を目的に訪れたのは15.9万人で、経済効果(直接効果)は年間7.21億円だとされています。

https://www.magarimatu.com/gpp/
4.『ユーリ!!! on ICE』×佐賀県唐津市
経済効果:約2億3280万円(2ヶ月間)
唐津をモチーフにした架空の町「長谷津町」出身のフィギュアスケーターが主人公の同作品。これに伴い、唐津市ではコラボイベント「サーガ!!! on ICE」を開催していました。
限定グッズ販売や飲食店で特別メニューを提供すると、日本だけでなく海外からもファンが訪れる結果に。イベント第1弾の経済効果は、2億3280万円と目算されています。

https://sagaprise.jp/sagaonice/
5.『進撃の巨人』×大分県日田市
経済効果:約55億円(3年間)
累計発行部数1億4000万部を誇る大人気作品「進撃の巨人」。作者の諫山創の故郷である日田市では、有志が3年前に立ち上げた協議会が中心となり同作とコラボした観光推進に取り組んでいます。
駅前にある人キャラクターの銅像や、大山町にあるミュージアムなど、巡礼できるスポットを用意。この取り組みを後押ししようと、市からも970万円の助成金が出されました。

https://www.city.hita.oita.jp/soshiki/shokokankobu/kankoka/kankoshinko/kanko/sinngeki/index.html
アニメコラボによる経済効果を最大化するポイント
アニメコラボを成功させるには、単なる人気作品とのタイアップだけでなく、戦略的な設計が不可欠。
ここでは、経済効果を最大化するための重要なポイントを解説します。
- ターゲット層の分析:作品のファン属性と自社商品のターゲットを分析し、最適なマッチングを行う。
- 作品の世界観との整合性:ブランドや商品の方向性がアニメの世界観と一致していることが成功のカギ。
- 多角的なプロモーション:SNS、リアルイベント、タイアップ広告などを複合的に展開し、話題性を維持する。
- 地域との連携:観光資源と連動させ、地元経済との相乗効果を狙う。
アニメコラボの今後の展望
アニメ産業のグローバル化が進む中、アニメコラボの可能性はさらに広がっています。
近年ではメタバースやNFTなど、デジタル領域でも新たな取り組みが始まっており、知的財産(IP)を軸としたマーケティング戦略は今後ますます重要視されるでしょう。
特に海外展開を視野に入れたグローバルIPとのコラボは、企業にとっても新しい市場開拓のチャンスとなります。
アニメはもはや「国内だけの文化」ではなく、世界中のファンに愛されるブランド力を持つコンテンツです。

まとめ
アニメコラボは、商品の売上拡大やブランド力強化だけでなく、地域経済の活性化にも大きく貢献する手法です。数多くの成功事例に見られるように、ファン心理に寄り添いながら世界観を活かした戦略的な取り組みが重要です。今後も企業・自治体・地域が連携してアニメIPを活用することで、持続的な経済効果を生み出す可能性は十分にあるでしょう。