コラボ商品の「企画」の作り方

コラボ商品を実現・販売する上で、最も重要なのは「企画」です。

アニメ作品とコラボした商品、ということだけでは成果は見込めません。

商品(製品)という「ハード」ももちろん重要な要素ですが、
コラボ商品においては

  • なぜコラボしたのか?
  • なぜこの商品化なのか?

といった「ソフト」な部分を作り込むことがより重要です。

本記事では、そんなコラボ商品の企画作りについてまとめたものです。

 

【コラボする作品】何とコラボするか?

作品およびキャラクターの選定の際、必ず全ての作品においてみてほしい2つの項目を紹介します。

類似商品でのコラボ商品が出ていないか

まずは、これからコラボ商品として販売しようとしている商材が、既にコラボ商品としてリリースされていないか確認しましょう。
人気作品や商品と作品との親和性が高ければ高いほど、このバッティングは起こりがちです。
バッティングがあれば当然、既にリリースされている商品が優先となってしまいます。

ただし、完全に諦める必要はありません。
コラボ商品を販売できる契約期間はおおよそ1年と定められているので、リリースされている商品が1年以上前のものなら、版権元様に連絡してみましょう。

ファンの多さとエンゲージメントの強さ

コラボ商品を購入するのは、基本的にそのアニメ作品のファンの方です。
そうなると当然、ファンの数が多ければ多いほど、販売数は見込めます。
ファンの数を把握するための一手段として、そのアニメ作品の公式SNSを確認しましょう。
フォロワー数・登録者数という指標でおおよそのファンの数を把握できることができます。

また、投稿やフィードの反応(リプライやいいね)で、エンゲージメントの強さも確認できます。
(※エンゲージメント:関わりの強さ)

ファンの数が少なくても、エンゲージメントの強いファンが割合多ければ販売数は見込めます。
インディーズバンドを応援する熱狂的なファンのようなイメージです。

 

アニメ作品との親和性

コラボ作品を選定する上で最も重要なのが「親和性」です。

株式会社トキオ・ゲッツが実施した調査では、コラボをした商品・サービスに対して好感を持ったと回答した方が70%以上いるのに対し、
3%ほどですが好感度が下がったという回答がありました。その好感度が下がった理由が、「親和性のなさ」です。

参照元:株式会社トキオ・ゲッツ アニメコラボ意識調査

 

「親和性」とは、「共通する部分が多く、相性が良いこと」を示します。

メーカーとしての「ストーリー」「商品の特徴」「地域性」と、アニメ作品との共通する部分を照らし合わせながら、作品選定を行いましょう。

また、具体的な商品化に関してもこの「親和性」に関しては考慮します。
※以下「【商品化】何を商品として販売するか?」参照

 

【リリースタイミング】いつリリースするか?

アニメとのコラボ企画において、その実施のタイミングは非常に重要な要素です。
では、どんなタイミングでの企画が実施されているか、具体的に事例を紹介します。

周年

コラボ商品が最も出やすいタイミングがこの周年です。
周年は一言で言えば単純ですが、下記のような種類があります。

  • 連載開始(全体またはシリーズそれぞれで)
  • アニメ化(全体またはシリーズそれぞれで)
  • 作者の執筆スタート

このいずれかのタイミングで、周年行事やSNSでの動きがあります。
その際にコラボ商品がリリースされることが多々あります。

アニメ化

コミックから晴れてアニメ化、となったタイミングでもコラボ商品は多くリリースされます。
アニメ化については、おおよそ1年以上前から「アニメ化決定」「制作決定」などのニュースが出ます。
また、既に過去アニメ化された作品でも、「season◯」「◯期」といった形で続編がスタートすることがあります。
既にアニメ化された作品ですと、世界観やある程度の人気度合いが掴めます。

劇場版公開

アニメ作品が劇場版化(映画化)されるタイミングも、コラボ商品が出る大きな機会の1つです。
ほぼ毎年映画化されている「名探偵コナン」「クレヨンしんちゃん」「ドラえもん」などのレジェンド作品もあります。
また、近年では「鬼滅の刃」「呪術廻戦」のような、作中の一部分を映画化するような流れもあるので、
先回りして企画作りを練ることができます。

イベント

Vtuberグループやアイドル系のコンテンツは、フェス型のイベントやライブイベントを定期的に行っています。
イベントの前から最中にかけては、運営もファンも動きが活発になります。
アパレルやジュエリー、装飾品などのコラボグッズに関しては、そのイベントに身につけて来場することが多いので、商品のデリバリーも含めてリリースのタイミングが非常に重要です。
また、一部のコラボグッズについてはイベント当日に会場でも販売が可能なので、版元様に確認しておきましょう。

誕生日

作中に登場する重要なキャラクターの誕生日に合わせて、企画商品をリリースするケースも増えてきました。
運営側もファンも動きが活発になるのは間違いありませんが、「盛り上がるのが1日に集中する」ということは注意しておきましょう。
オペレーションに関しても、お客様の対応に関しても計画を緻密に立てておく必要があります。

 

【ターゲット】誰に届けるか?

コラボ商品に関しては、その作品のファンに届けるものであり、それ以上でも以下でもありません。
一緒くたんにまとめることはできませんが、「どのような層にファン多いのか?」は把握しておきましょう。

年齢と性別

ファン層を捉えるために、「年齢」「性別」の照準は合わせておきましょう。
男性ファンが多いアニメ・作品とのコラボで化粧品やジュエリーなどの企画は、あまり売上として期待できません。

年齢に関しては、おおよそではありますが下記のように5分類の上、商材としても適したものを選びましょう。

  • 0〜12歳:おもちゃ、菓子
  • 13~18歳:服飾雑貨、アパレル
  • 18~25歳:服飾雑貨、アパレル
  • 25~40歳:嗜好品、生活雑貨
  • 41歳~  :嗜好品、生活雑貨

 

【商品化】何を商品として販売するか?

「コラボする作品」「リリースタイミング」「ターゲット」が決まったら、いよいよ「商品化」するものを企画していきます。
やはり最も重要なのは親和性ですが、下記のようなアプローチで親和性を演出することができます。

世界観

アニメ作品には、それぞれの世界観の設定があります。世界観は下記のような分類ができます。

  • 時代背景
    • 紀元前後の古代
    • ◯◯時代と表現されるピンポイントな時代(ex 江戸時代)
    • 現代
    • (近)未来
  • 地域性
    • 日本国内
    • 欧米
    • その他(中国、アフリカ等)
  • 異世界
    • 想像の世界の、オリジナルな設定

設定にある世界観にあるような商品であれば、親和性は少なからずあると言えます。

作品やキャラクターの名前

作品名やキャラクター名を、商品名に入れたりキャッチコピーに活用することも、コラボ商品の企画としてよくあるパターンの一つです。
「もじる」「ダジャレ化」すると表現する方がわかりやすいかもしれません。

 

作中の描写

コラボ商品化において最もストレートな方法が、作中に登場したものを商品化することです。

  • 作中の物語の核心に触れる重要なアイテム
  • キャラクターがよく使用しているもの
  • キャラクターが身につけているもの、飲み・食いしているもの

二次元の作品から飛び出てきた実物は、ファンにとっては心揺さぶられるものなので効果的です。

ただしこの企画の方法は「再現性」が非常に重要であるので、再現度が低いと逆効果になる可能性も否めないので注意しましょう。

【オペレーション】どのようにお届けするか?

ここまで記述した内容が全て一定時以上の企画力だったとしたら、最低限成果は見込めるでしょう。

しかし、この章の【オペレーション】によって

  • 更に評価を頂き、成果が伸びるか
  • 逆に評価を落とし、成果を阻害するか

を左右していきます。

【コミュニケーション】においては、主に下記の3点において計画を作りましょう。

告知、情報の伝達

「コラボ商品のお客様は、コラボするアニメ作品のファン」

ということを前提にすると、どれだけ”漏れ”なくファンにお伝えするかが重要です。

アニメ作品の公式SNSでの投稿やリポストは必須、
PRとしてニュースリリースやメディアの活用も行います。

とにかく、どれだけファンに伝え切るかが重要なので、
ファンが普段見ているだろう媒体にはできるだけ情報が出るよう対策しましょう。

また、告知する情報の内容もポイントを抑える。

  • どこが製造・販売しているのか
  • どんな商品なのか
  • いつ販売されるのか
  • どこで販売されるのか
  • 限定販売の情報(期間限定、数量限定、会員限定 等)
  • ノベルティはつくのか
  • どんなデザインか(シーン、描き下ろし、描き起こし 等)

ファンにとって不要な情報はできるだけ削って、要点を伝え切るものにしましょう。

リリース時、販売中

コラボ商品がリリースされると、当日〜3日ほどは注文が集中します。

特にオンラインショップで、事前に情報を得ているファンであれば、
「一刻も早く、購入したい」という状態です。

オンラインショップでの販売、店頭での販売に限らず、
どれだけ手間・工程が少なく商品を選択し、決済までしていただけるか?

を考慮した売場の設計、オペレーション計画を作っておきましょう。

お届け

特にオンラインショップにおいては、

「そのコラボ商品がいつ届くのか?」

が不明確だと、購入したお客様、検討しているファンにとってストレスとなります。

あらかじめ、「発送開始日(時期)」「いつまでに届けるものなのか」は、明記しておきましょう。

また、お届けに際して商品の形状、
食品であれば衛生面には細心の注意をはらってお届けしましょう。

 

コラボ商品の「企画」の作り方 まとめ

コラボ商品の「企画」について、さまざまな角度からお伝えいたしました。

企画については、今回あげた要点の「掛け算」で良さが算出されるものと考えています。

「掛け算」なので、全てが一定以上であればファンに受け入れてもらえるでしょう。

一方、どこかでマイナスとなるものがあれば、その企画としてはマイナスになりかねません。

ぜひ、ポイントを抑えてファンに喜んでいただける企画づくりの参考にしていただけますと幸いです。

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