2025年8月24日、秋葉原の胃袋を支え続けた「野郎ラーメン秋葉原総本店」が、約13年の歴史に幕を下ろしました。
ボリューム満点のラーメンでファンを魅了した同店ですが、その功績は味だけにとどまりません。アニメ、ゲーム、VTuberなど、秋葉原のカルチャーと深く結びついた数々のコラボを実施してきました。その功績により、作品のファンにとって聖地巡礼の目的地となり、街の賑わいを創出する重要な役割を担ってきましたといえるでしょう。本記事では、同店が歩んだ輝かしいコラボの歴史を振り返り、その功績を偲びます。
アニメファンを熱狂させたコラボの数々
野郎ラーメン秋葉原総本店は、数多くのアニメ作品とタッグを組み、ファンを熱狂の渦に巻き込んできました。作品の世界観を反映した限定メニューやオリジナルグッズは、毎回大きな話題を呼びました。
『青春ブタ野郎』シリーズとのコラボ

同店のコラボの中でも特に象徴的だったのが、5度にわたって開催された『青春ブタ野郎』シリーズとのコラボレーションです。「ブタ野郎」という共通点から始まったこの企画は、ファンの間で瞬く間に話題に。限定メニューの「青春ブタ野郎ラーメン」が販売されたほか、ヒロイン桜島麻衣の描き下ろしイラストのポスターやグッズも。店内では桜島麻衣(CV:瀬戸麻沙美)による録り下ろし店内放送が流れ、限定のアクリルスタンドやクリアファイルなどのグッズも販売。作品の世界に浸りながらラーメンをすする体験は、ファンにとって忘れられない思い出となったことでしょう。
『ウマ娘 シンデレラグレイ』とのコラボ

社会現象を巻き起こした『ウマ娘 プリティーダービー』のスピンオフ作品、『ウマ娘 シンデレラグレイ』とのコラボも大きな注目を集めました。期間中は、オグリキャップ・タマモクロス・フジマサマーチをイメージした全3種のコラボ限定ラーメンが登場。なお、コラボメニューを注文すると、限定の描き下ろしイラストカードがもらえるキャンペーンも実施されました。店外には巨大なタペストリーが掲げられ、店内はキャラクターのパネルで彩られるなど、まさに『ウマ娘』一色。作品の聖地である大井競馬場へ向かう前の腹ごしらえに、多くのトレーナー(ファン)がこの地を訪れました。
『グリッドマン ユニバース』とのコラボ

2023年春に公開された映画『グリッドマン ユニバース』とのコラボ。コラボメニュー「グリッドマンユニバース ラーメン」は、作品のキーカラーである赤・青・黄を、それぞれキムチ、チーズ、コーンで表現し、見た目にも鮮やかな一杯に。このラーメンを注文したファンには、特典としてオリジナルグッズがプレゼントされ、大きな話題を呼びました。
『六道の悪女たち』とのコラボ

2023年春クールに放送されたアニメ『六道の悪女たち』とのコラボは、作品の持つヤンキー漫画のテイストと「野郎ラーメン」の持つ力強いイメージが絶妙にマッチした企画でした。期間中は、アニメに登場するキャラクターをイメージした6種類のコラボラーメンが販売され、キャラクター性に富んだユニークなメニューで話題に。これらのコラボメニューを注文すると、描き下ろしイラストを使用したステッカーがプレゼントされました。店内には六道桃助(CV.佐藤元)、向日葵乱奈(CV.上坂すみれ)の特別ボイスのアナウンスも。
『豚のレバーは加熱しろ』とのコラボ

2023年秋には、前述の『青春ブタ野郎』シリーズと『豚のレバーは加熱しろ』という、電撃文庫の「豚」つながり2作品による異色の合同コラボが実現しました。限定メニュー『青春ブタ野郎ラーメン』と『豚レバ野郎ラーメン』がそれぞれ販売され、注文すると先着でオリジナルポストカードのプレゼントが。店内は2作品のキャラクターで彩られ、一度の来店で二つの作品の世界観を楽しめるという、ファンにとっては夢のような空間となりました。
人気ゲームの世界観をラーメンで表現
野郎ラーメン秋葉原総本店は、アニメだけでなく数々の人気ゲームともコラボレーションを展開。
キャラクターや世界観をラーメンという形で再構築し、プレイヤーたちに新たな驚きと感動を提供しました。
『勝利の女神:NIKKE』とのコラボ

2025年5月2日から6月1日まで実施。期間中、NIKKEのキャラクターであるモダニア、スノーホワイト、クラウンがラーメン店の店員に扮した特別な描き下ろしイラストが公開されました。また、コラボ限定のラーメンが提供されたほか、アクリルスタンドやTシャツ、さらにはオリジナルのラーメンどんぶりといった、イラストを使った様々な限定グッズも販売。さらにコラボメニューを注文するとポストカードがもらえる特典もあり、秋葉原総本店をはじめ対象店舗はコラボ仕様の内装で装飾され、多くのファンで賑わいました。
『白猫プロジェクト NEW WORLD'S』とのコラボ

2025年4月1日から4月30日まで開催。このコラボでは、博多豚骨ラーメンをベースに、白と黒のスープで「白猫プロジェクト」の世界観を表現した「野郎よ!白猫ラーメン」を期間限定で販売。また、このコラボラーメンを注文した人には、シェヲルやシャルロット、エレノア、ルカが描かれたポストカード(全4種)がランダムで1枚プレゼントされました。コラボは秋葉原、名古屋栄、海浜幕張、川口の4店舗で行われ、特に秋葉原店ではキャラクターの巨大看板や店内装飾が施され、多くのファンで賑わいました。
『アイドルマスター ミリオンライブ!』とのコラボ

「四条最強!ミリオンライブ野郎ラーメン〜子豚ちゃんいらっしゃい♪〜」と題したコラボ。このコラボでは、四条貴音と天空橋朋花がフィーチャーされ、二人が食べているコラボラーメンが期間限定で提供されました。また、コラボラーメンを注文した人には、対象アイドルの「ノベルティカード」が特典としてプレゼント。特典は期間によって配布されるバージョンが異なり、7月31日までは「ベーシックVer.」が配布されていました。
『ブルーアーカイブ -Blue Archive-』とのコラボ

2023年2月1日から3月5日まで、野郎ラーメン秋葉原総本店が「柴関野郎ラーメン秋葉原総本店」として開催されました。このコラボでは、「柴関野郎ラーメン」(1日20食限定)と「柴関特製チーズ味噌豚野郎ラーメン」という2種類の限定メニューが登場しました。さらに、コラボメニューを注文すると、購入金額500円ごとに、全28種類のオリジナルカードが特典としてプレゼントされました。
『八月のシンデレラナイン』とのコラボ

「野球」×「青春」がテーマのスマートフォンゲーム『八月のシンデレラナイン』(ハチナイ)とは、2023年4月2日から4月30日にかけて、野郎ラーメン秋葉原総本店で開催されました。このコラボでは、作品にちなんで9種類のトッピングが乗った限定メニュー「ハチナイ豚野郎ラーメン」が1,380円(税込)で提供されました。このコラボラーメンを注文した人には、全3種類の限定ノベルティカードの中からランダムで1枚がプレゼントされました。
『Z/X -Zillions of enemy X-』とのコラボ

人気トレーディングカードゲーム『Z/X -Zillions of enemy X-』とは、2024年5月20日から6月20日まで、秋葉原総本店と栄本店の2店舗限定で開催。このコラボでは、限定メニューとして「ゼクス野郎ラーメン(牛骨塩豚野郎)」が提供され、これを注文した人にはPRカード「メガ豚完食おかわり! イース」がプレゼントされました。また、コラボメニューを3杯注文し、特定のPRカード2枚を提示すると、さらにPRカード2枚がもらえる「おかわり!キャンペーン」も実施されました。
VTuber・YouTuberとのユニークな企画
野郎ラーメン秋葉原総本店は、アニメやゲームといった既存のIPだけでなく、VTuberやYouTuberといった新世代のクリエイターとも積極的にコラボレーションを行いました。
獅白ぼたん(ホロライブ)とのコラボ

絶大な人気を誇るVTuberグループ「ホロライブ」所属の獅白ぼたんさんとのコラボは、「麺屋ぼたん」という架空のラーメン屋をオープンするというコンセプトで2022年に実施。ゲンコツを18時間以上炊いた濃厚な豚骨スープに、黄金に輝く鶏油が相性抜群の特別メニュー「豚骨らら~めん」が提供されました。期間中、コラボラーメンをご注文ごとに「ポストカード(全6種)」をランダムで1枚プレゼントされました。
あおぎり高校とのコラボ

VTuberグループ「あおぎり高校」とのコラボは、2022年に開催されました。コラボレーション期間中は、本コラボを記念し「あおぎり高校」のグッズなどで装飾された店内で皆様をお出迎えするほか、限定コラボラーメン『青葱小口切り豚野郎』略して、『あおぎり豚野郎』が提供されました。限定コラボラーメンをご注文頂いた方向けに、特製ステッカーも配布。
漫画作品とのコラボも
野郎ラーメンのコラボレーションは、アニメやゲームだけに留まりません。話題の漫画作品ともタッグを組み、ファンを喜ばせました。
『ドカ食いダイスキ! もちづきさん』とのコラボ

SNSを中心に人気が爆発した漫画『ドカ食いダイスキ! もちづきさん』とのコラボは、2025年に実現しました。食べることをこよなく愛する主人公・もちづきさんの食いっぷりを再現すべく、「ドカ食いダイスキ! 野郎ラーメン」が提供されました。なんと合計4200キロカロリーという、作品の世界観を見事に表現した一杯。「ラーメンどんぶり」や「クリアファイル」「手ぬぐい」など、描き下ろしイラストが入ったオリジナルグッズも販売されました。
まとめ
野郎ラーメン秋葉原総本店が閉店した今、その跡地を前に寂しさを感じるファンは少なくないでしょう。しかし、同店が数々のコラボレーションを通じてファンに提供してきた特別な体験や思い出は、決して消えることはありません。それは単なる食事の提供ではなく、作品への愛を共有し、ファン同士が繋がる「場」の創出でした。秋葉原という街のカルチャーを体現し、ラーメンの熱気で街を盛り上げ続けた野郎ラーメン。その功績は、これからも多くのファンの心の中で語り継がれていくはずです。ありがとう、野郎ラーメン。