「描き下ろし」と「描き起こし」の違いとは?IPコラボでの活用方法と選び方

アニメやキャラクターのコラボグッズを見ていると、「描き下ろし」「描き起こし」という言葉を目にすることはありませんか?どちらも見た目は似ていますが、実は制作方法や活用シーンに大きな違いがあります。

本記事では、描き下ろしと描き起こしの違いを、意味や特徴からわかりやすく解説します。企業コラボでの選び方や事例、知っておきたい著作権の注意点まで、実務に役立つ情報をまとめました。

「描き下ろし」と「描き起こし」の違い

「描き下ろし」と「描き起こし」は、どちらも新しいイラストを制作する際に使われる言葉です。ただし、どちらも同じ意味を持つわけではなく、以下のような違いがあります。

比較項目描き下ろし描き起こし
意味特定の企画・商品などのために、新しく描いた作品既存のイラストや漫画を改めて描き直した作品
元になるイラストの有無なし(完全新規)写真・設定画・フィギュア・既存イラストなどを元ネタにする
特徴「ここでしか見られない・手に入らない」という限定感を演出しやすいキャラクターの新たな魅力を引き出し、グッズ展開の幅を広げやすい
活用例限定グッズ、イベントビジュアルなど広告、パッケージ、雑誌表紙など

描き下ろし・描き起こしの使われ方は、制作会社やコンテンツによって幅があります。ここからは、描き下ろし・描き起こしの意味や特徴について詳しく見ていきましょう。

描き下ろしとは?定義と特徴

描き下ろしとは、漫画家やイラストレーターが新たに描いた作品のことです。特定のグッズや企画のためだけに制作するので、これまで一度も使用されていないという独自性があります。

完全新規のビジュアルはファンからも喜ばれやすく、新作アニメやグッズの発表など、特別なイベントで目にする機会が多い表現方法です。コラボレーション企画で使われることもあり、その特別性・話題性からファンの購買意欲を刺激できます。

描き下ろしでよく作られるグッズとは?

描き下ろしイラストは、メインビジュアルをはじめ、以下のようにさまざまなグッズに活用されます。

  • 限定ポスター
  • クリアファイル
  • アクリルスタンド
  • 缶バッジ
  • キーホルダー
  • Tシャツ

描き下ろしグッズは、POP UP SHOPやイベントで限定販売されることが多く、ファンにとっては見逃せないアイテムです。

ホテルやカフェとのコラボ企画でも、描き下ろしの限定グッズやノベルティが登場するケースが増えており、企画の目玉として位置づけられることも少なくありません。

描き起こしとは?定義と特徴

描き起こしとは、一度描かれたイラストやキャラクターを改めて描き直した作品のことです。既存のビジュアルをそのまま使用するのではなく、用途によって新しいポーズや構図、テイストなどにアレンジして制作します。

よく用いられるのは、広告や商品パッケージ、雑誌の表紙など。アニメやキャラクターのコラボでは、ミニキャラやデフォルメイラストとして描き起こされるケースも多く見られます。

描き起こしは、元のキャラクターの魅力を保ちながら新しい見せ方を提供できるのが特徴です。描き下ろしに比べて制作の手間を抑えやすく、複数のバリエーションを展開したい場面に向いています。

【コラボ担当者必見】描き下ろしと描き起こし、どちらを選ぶべき?

アニメやキャラクターとのコラボを企画するときは、用途に応じて「描き下ろし」と「描き起こし」を使い分けることが大切です。ここからは、両者が向いているケースについて解説します。

描き下ろしが向いているケース|話題性の向上・客単価アップ

描き下ろしは、コラボ企画そのものの注目度を高めたいときに向いています。完全新規のイラストは「ここでしか見られない」という価値を持つため、SNSを含めた話題化につながりやすいのが強みです。

限定性の高さからファンの購買意欲を刺激しやすく、客単価のアップも期待できます。描き下ろしイラストを、アクリルスタンドや缶バッジなど価格帯の異なる商品に展開すれば、ファンのコレクション需要を取り込めるでしょう。

ただし、版権元への許諾確認や監修には時間を要するため、企画の発表から販売開始までのスケジュールに余裕を持たせることが重要です。

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描き起こしが向いているケース|商品のバリエーション拡大

描き起こしは、商品のバリエーションを増やしたい場合に向いています。既存の素材を土台にするため、描き下ろしに比べて制作コストや納期を抑えやすく、短期間でも複数のグッズを展開できるのが魅力です。

また描き起こしは、コラボ先の世界観に合わせてキャラクターをアレンジすることで、新たな価値を生み出せるのも強みのひとつ。たとえば、ミニキャラやデフォルメ表現にすれば、通常のキャラクタービジュアルとは異なる親しみやすさを演出できます。

描き下ろし・描き起こしイラストの活用・コラボ事例

本章では、描き下ろし・描き起こしイラストの活用・コラボ事例を紹介します。イラストの制作方法だけでなく、どのような目的で描き下ろし・描き起こしを使い分けているのかにも注目してみましょう。

『進撃の巨人』×Anique「海を見に行こう」|描き下ろし・描き起こしの使い分けで購買を刺激

Anique株式会社が運営する「Aniqueショップ」では、TVアニメ『進撃の巨人』の新規オリジナルグッズを販売しました。

【海を見に行こう】をテーマに、新規描き下ろしの等身イラストのほか、イラストレーター・冬野カモメ氏による描き起こしイラストも制作。トレーディング缶バッジやアクリルスタンドなど、描き下ろし版と描き起こし版でそれぞれ異なる商品ラインナップが展開されています。

海を感じる爽やかな世界観の描き下ろしアイテムと、遊び心のある描き起こしアイテムを同時に楽しめるのが最大のポイント。1つの企画で2つの表現方法をうまく使い分けており、商品のバリエーションと購買体験の幅を拡大しています。

©諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会
出典:Aniqueショップ|TVアニメ『進撃の巨人』海を見に行こう

『弱虫ペダル』×ヴィレッジヴァンガード|描き起こしミニキャラで親しみやすさを演出

VILLAGE VANGUARD(ヴィレッジヴァンガード)では、『弱虫ペダル LIMIT BREAK』とのコラボグッズで、「パステルダイナー」をテーマにした描き起こしミニキャライラストを制作しました。

トレーディング缶バッジをはじめ、ミニタオルやトートバッグなど、幅広いグッズを展開。ミニキャラの表現を取り入れることで、ダイナーらしいポップで親しみやすい世界観を表現しています。

本コラボは、ファンからの好評を受けて店頭販売とオンラインストアでの受注販売が決定。複数のキャラクターを同じテーマで描き起こし、グッズを集める楽しさにつなげているのも特徴的ですね。

©渡辺航(週刊少年チャンピオン)/弱虫ペダル 05 製作委員会
出典:VILLAGE VANGUARD|【弱虫ペダル LIMIT BREAK】描き起こしイラストを使用した限定グッズが好評につき店頭販売&オンラインストア受注販売決定!

『銀魂』×and GALLERY「秋色茶房」|等身とデフォルメでキャラクターの魅力を表現

TVアニメ『銀魂』と、ギャラリー併設カフェ「and GALLERY」とのコラボカフェ「銀魂秋色茶房」。秋をテーマにした和服姿の限定描き下ろしイラストに加え、かわいらしい描き起こしイラストが登場しました。

描き下ろしの等身イラストはクリアファイルやノベルティのしおり、デフォルメされた描き起こしイラストはクリアカードやダイカットステッカーに展開。描き下ろしと描き起こしをどちらも使用したグッズもあり、異なるタッチでキャラクターの魅力を引き出しています。

またコラボドリンクを注文すると、描き起こしのドリンクチャームをプレゼントする企画も!デフォルメされたキャラクターのかわいらしさを、より身近に楽しめる工夫が施されています。

Ⓒ空知英秋/集英社・テレビ東京・電通・BNP・アニプレックス
出典:TVアニメ「銀魂」× and GALLERY Collaboration Cafe 公式サイト

描き下ろしイラストを使うときに注意したい著作権

描き下ろしイラストを活用するときは、著作権をはじめとする権利関係の確認が必要です。イラストの著作権は原則作者が持つので、アニメや漫画のキャラクターを使う場合も、必ず作者や企業と契約を交わしましょう。

ここからは、描き下ろしイラストを活用するときに注意したい著作権について詳しく解説します。

著作権の概要とルール

著作権とは、著作者が自らの創作物に対して持つ権利のことです。文学・音楽・美術などさまざまな分野の著作物に適用され、著作者の権利は、大きく人格権と財産権の2つに分けられます。

  • 人格権:名誉や社会的な評価など、著作者の人格的利益を保護する権利
  • 財産権:著作者の財産的利益を保護する権利

単に著作権というときは、財産権を指すケースが一般的です。著作権(財産権)には、写真や録画で作品を複製する「複製権」のほか、スクリーンに映写する「上映権」、有線放送やインターネットを通じて公開する「公衆送信権・公の伝達権」など複数の種類があります。

なお、著作物を何らかの形で利用する場合は、原則として著作者から許諾を得なければいけません。他人の著作物を無断で使用することは違法であり、著作権の侵害となります。

描き下ろしイラストの著作権と使用許諾

描き下ろしイラストの著作権も、原則としてイラストレーターや原作者に帰属します。そのため、企業がグッズや広告に描き下ろしイラストを使用する場合は、著作権者(ライセンサー)と使用許諾契約を締結するのが基本です。

契約では、描き下ろしイラストの使用範囲のほか、使用期間や販売地域などを詳細にすり合わせておく必要があります。特にアニメIPとのコラボでは、イラストレーターだけでなく出版社やアニメ制作会社の許諾が必要となるケースも多いので、余裕を持ったスケジュールで調整を進めましょう。

描き下ろしと描き起こしの違いを理解してコラボに活用しよう

本記事では、描き下ろしと描き起こしの違いについて詳しく解説しました。描き下ろしは話題性や特別感を演出したい場面、描き起こしは商品バリエーションを効率的に広げたい場面で、それぞれ強みを発揮します。

コラボ企画を検討するときは、目的・スケジュール・予算に応じてどちらが適しているか見極めることが大切です。今回の事例のように、1つのコラボ企画で両者を使い分ければ、ファンの購買体験の向上にもつながるでしょう。

アニメトコラボでは、アニメとのコラボ商品販売をトータルでサポートしており、初めてでも安心して進められる体制を整えています。「描き下ろし・描き起こしのどちらが向いているかわからない」「著作権の調整が心配」という企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。